* 写真クリック ⇒ 写真表示欄に拡大 *

剣岳登山記

はじめに

 当初飯豊山を計画していたが、天気予報が雨だったので、天気が良い剣岳に変更する。100名山の98座目の登山となり、残りは飯豊山と富士山です。
 横着に登ろうとすると、立山・剣山系の山は高くつく。それは立山アルペンル-トの運賃が高いからです。私が利用する扇沢・立山駅往復料金が9,470円、無料駐車場が満車の場合の有料駐車場料金が3,000円程度、山小屋1泊2食料金が11,000円かかる。扇沢までの交通費を含めると相当の経費となる。剣岳登山の場合、天気によっては登れないリスクもある。
 今回天気予報を信じて剣岳登山を選択したが、山の天気はあてにならない。1日目は麓の天気は晴れていたが、立山駅に着く頃には雨模様になっていた。歩き始めは止んでいたが、道中は降ったり止んだりの繰り返しだった。幸いに大降りとはならず、風も許容範囲だった。宿泊所剣山荘ではこの日は天気が悪く、剣岳登山の完登した者がいる一方、断念した者も多くいた。夜中に山小屋が揺れると感じる程の強風が吹く。はたして剣岳に登れるのだろうか、不安がかすめる。山小屋はコロナ禍で空いていた。部屋は感染対策がされていて、宿泊者間はビニ-ルシ-トで隔離されていた。
 登山当日、同じ部屋の登山者が3時半過ぎから準備を始めたので寝れる状態ではない。我々もそれにつられて計画より早めに出発することにする。山小屋を出る頃には風は治まっており、雨も降ってなかった。歩き始めはヘッドライトたよりの登山で、時々登山道を少し外れることもあったが大事にはならない範囲です。空が白み始めたころには、青空が覗きだし絶好の登山日和となる。カニのたてばい・カニのよこばい、難所のクサリ場は無事通過して剣岳登山を終えることが出来た。また山頂から360度の澄み切った絶景を堪能することが出来た。(案内図は剣山荘掲示を写真撮影)

2021年8月30日(月) 曇、雨
 扇沢駅Map ((7:30 1時間1分) ⇒ 立山駅(8:55-9:15 15分) ⇒ みくりが池温泉(9:30 26分) ⇒ 雷鳥荘(9:56 27分) ⇒ 浄土川(10:23 1時間28分) ⇒ 別山乗越_2,792m(11:51-12:18 1時間11分) ⇒ 剣山荘_1,720m(13:29)
 室堂立山駅横の立山玉殿の湧水のところを9時15分に出発する。ガスで視界が遮られ立山は全く見えない。幸い雨は止んでいたが、今にも降りそうな気配だ。みくりが池温泉まででこぼこの石畳と石段の遊歩道を下って行く。みくりが池に近づいた頃から雨足が強くなり雨具を装着する。風も少し出てきて、硫黄の匂いが鼻をつくようになる。みくりが池温泉から地獄谷展望台までゆるやかに石畳を上っていく。そこから血の池、リンドウ池を経由して雷鳥荘に至る。そこまで41分かかる。
 そこから右側に雷鳥平が眼下に小さく見えるが、背後の山並みは麓が見えるのみだ。左側に地獄谷を見ながら長い石段を下って、右折して暫く進むと雷鳥沢キャンプ場に出る。その付近所々に白と赤みがかったオンタデが密生していた。突き当りを道標に従い左折して暫く行き、浄土川に架かる橋を渡る。橋を渡り左折して川沿いを少し進み、岩のゴロゴロした雷鳥沢に入る。小さな尾根に取りつくと、最初は小刻みなつづら折りから、台地状の尾根は大きなつづら折りとなる。尾根を離れると、急坂となり再び小刻みなつづら折りとなる。剣御前小屋が大きく見える頃から気分的に楽になる。まもなく剣御前小屋のある別山乗越に着く。周囲はガスの中にある。
 剣御前小屋で休憩を兼ねて昼食を摂る。別山乗越から剣山荘に行くル-トはクロユリコルと剣沢荘方向の2ルートある。どちらのコースも1時間程だ。私達は視界が悪いため、登山道がはっきり判る左側のクロユリコル方向に進む。右に雪渓をみながらガレ場を下って行く。剣沢の左岸上を通ることになり、途中2ヶ所の雪渓を横断する。その付近から高山植物が沢山あるので、写真撮影に時間をとられる。ガレ場を抜け低木帯に入ると右下に剣山荘の赤い屋根が見える。そこから10分程で剣山荘に着く。剣山荘に着く頃には雨はすっかりあがり、山荘テラスから立山方向の剣沢荘、剣岳に続くギザギザの稜線がはっきり見えた。17時からの食事を終えると、どこの登山でも同じことだが何もすることがない。明日の剣岳登山のため、小さなリュックに必要最小限の荷物を詰め込む。後は寝るのみだ。夜中に目が覚めると、外はとんでもない風の音がする。雨も降っているようで、先行き不安を感じる。天気予報を信じて眠るしかないが、当然熟睡は出来なかった。


2021年8月31日(火) 晴
 剣山荘(4:10 21分) ⇒ クロユリコル分岐(4:31 9分) ⇒ 一服剣(4:40 47分) ⇒ 前剣山頂(5:27 10分) ⇒ 4mの狭い鉄橋と5,6番目の鎖場(5:37 42分) ⇒ カニのたてばい(6:19 40分) ⇒ 剣岳_2,998m(6:59)
 剣岳(7:05 20分) ⇒ カニのよこばい(7:25 14分) ⇒ 平蔵のコル(7:39 7分) ⇒ 平蔵頭鎖場(7:46 23分) ⇒ 前剣の門(8:09 12分) ⇒ 前剣山頂(8:21-8:30 36分) ⇒ 武蔵のコル(9:06 10分) ⇒ 一服剣(9:16 5分) ⇒ クロユリコル分岐(9:21 12分) ⇒ 剣山荘(9:33)
 剣山荘(10:12 26分) ⇒ 剣沢山荘(10:38 16分) ⇒ 剣沢野営管理所(10:54 48分) ⇒ 別山乗越_2,792m(11:42-11:55 1時間14分) ⇒ 浄土川(13:09 25分) ⇒ 雷鳥荘(13:34 26分) ⇒ みくりが池温泉(14:00-14:10 12分) ⇒ 立山駅(14:22-14:45 1時間36分) ⇒ 扇沢駅(16:21)

 うつらうつらしているうち、同部屋の登山者の準備音のため完全に目が覚める。結局、当初計画より早い4時10分に剣山荘をスタ-トする。幸い雨は完全にあがり、風も穏やかになっていた。ヘッドライトを照らしながらの登山で、目の前の登山道しか見えず、時々登山道を見失うことがある。クロユリコル分岐道標を21分で通過し、剣山荘から30分で一服剣に到着する。5時10分頃から東の空が薄赤色に白み始めるとともに、山並みがはっきり浮かび上がり、天気が良いことを確信する。一旦武蔵のコルまで下る。ガレ場を暫く進み、3番目と4番目の鎖場を抜けると前剣山頂に達する。
 前剣を下ると、前剣の門までに往路専用の4mの狭い鉄橋と5,6番目の鎖場がある。そこから穏やかな登山道を進み、平蔵の頭への往路専用の7番目の鎖場で平蔵の頭を超える。更に8番目の鎖場を経て、平蔵のコルに出ると、そこで往路、復路の分岐点になる。右側に進むとカニのたてばいがある急峻な崖にぶつかる。
 最難関の9番目の鎖場カニのたてばいを這い上がり、大岩がゴロゴロするガレ場を登りきると剣岳山頂の祠に着く。山頂(2,998m)は360度の大パノラマで回りを何度見ても飽きることがない。後立山連峰、薬師岳等から峻険な剣岳を見てきたが、今は逆の位置で眺めている。
 山頂にしばし留まり絶景を堪能する。下りの難関は12番目鎖場カニのよこばいだが、下りのため力を使わない分カニのたてばいより楽だ。カニのよこばいを通過すると、急こう配のステンレスハシゴがある。更にその下の鎖場を過ぎると平蔵のコルに降り立つ。そこでカニのたてばいに向かう上りの登山道と合流する。その先平蔵の頭に行く、下山用の12番目鎖場を上る。そこを過ぎると、前剣の門まで穏やかな登山道で息がつける。
 前剣に向かう下山用の13番目の鎖を上りきると前剣頂上(2,813m)だ。振り返れば剣岳が勇壮な姿で迫り、前方には立山連峰と2つの赤い屋根の山小屋が見える。あまりにも見事なので少し写真タイムを取る。危険個所を過ぎたので気持ちが楽になる。4番目鎖場を経て稜線に一旦出る。そこから大岩に向かって4番目鎖場を進むと、武蔵のコルまでガレた登山道となる。話によるとこのガレ場は落石、浮石による転倒が多いらしい。高山植物が多く見受けられた。
 武蔵のコルから一服剣に上りきると、剣山荘登山口まで一気に下りきる。剣山荘で用意された弁当を、ここまで戻って食べることになる。ここでゆっくり時間を過ごし、ここからの長丁場に備える。別山乗越までの往路は昨日と別ル-トの剣沢荘経由とする。
 剣沢のガレた道を横切り、高台の剣沢山荘に向かう。剣沢山荘手前の尾根を上って行くと、剣沢野営管理所のある開けた広場に出る。更に尾根筋を延々上って行くと、右側に雪渓が見えてくる。最後の急坂を一上りすれば別山乗越に着く。
 別山乗越では、室堂から美女平に続くアルペンル-トが、地獄谷の先に白い線を描く。別山乗越から長い下山となる。往路は天気が悪く、景色を楽しむ暇がなかった。復路は立山連峰、雷鳥平、地獄谷を一望に見ながら下りるつもりだったが、ここまでの疲れとだらだらした下り坂に悩まされる。浄土川まで下りきり、橋を渡ると平坦な雷鳥平となり一息つく。暫くフラットな遊歩道を歩くと、再び雷鳥荘までの長い石段が待ち構えている。雷鳥荘から昨日は見えなかった雷鳥平背後の別山乗越を振り返る。
そこから緩やかな石段と石畳をリンドウ池、血の池を経由して地獄谷展望台に至る。そこを少し下るとみくりが池温泉だ。地獄谷の見晴らしの良いテラスでソフトクリ-ム休憩とする。みくりが池に映る不鮮明な逆さ立山を見る。そこから最後の坂を上り、立山駅に14時22分に着く。最終便が16時30分なので、余裕の到着となる。室堂での景色を見ることなく、14時45分のトロリ-バスに飛び乗る。黒部ダム駅の接続が悪く、1時間36分かかり扇沢駅に着く。山登り後は、定番の温泉で疲れと汗を流して帰宅する。


高山植物

* 写真にマウス ⇒ 写真拡大 *

アオノツガザクラ


撮影日:2021年8月30日
撮影地:剣沢
科/属:ツツジ/ツガザクラ
特 徴:葉形が針葉樹のツガ似

イワオトギリ


撮影日:2021年8月30日
撮影地:剣沢
科/属:オトギリソウ/オトギリソウ
特 徴:葉が剣状

イワギキョウ


撮影日:2021年8月31日
撮影地:剣岳平蔵のコル
科/属:キキョウ/ホタルブクロ
特 徴:花びらに毛がない

イワツメクサ


撮影日:2021年8月31日
撮影地:別山乗越
科/属:ナデシコ/ハコベ
特 徴:葉が線形で先が細い

ウサギギク


撮影日:2021年8月31日
撮影地:剣沢野営管理所付近
科/属:キク/ウサギギク
特 徴:2個の葉がうさぎ耳似

ウラジロナナカマド


撮影日:2021年8月30日
撮影地:剣山荘手前
科/属:バラ/ナナカマド
特 徴: 葉の裏が白み

オヤマリンドウ


撮影日:2021年8月31日
撮影地:剣山荘手前
科/属:リンドウ/リンドウ
特 徴:茎の先端部に複数花

オンタデ


撮影日:2021年8月31日
撮影地:剣沢
科/属:タデ/オンタデ
特 徴:不毛な砂礫地に群落

クガイソウ


撮影日:2021年8月31日
撮影地:剣沢武蔵コル
科/属:オオバコ/クガイソウ
特 徴:穂状

コウリンカ


撮影日:2021年8月31日
撮影地:剣沢
科/属:キク/コウリンカ
特 徴:車の車軸様な花びら

シャジクソウ


撮影日:2021年8月31日
撮影地:剣沢野営管理所付近
科/属:マメ/シャジクソウ
特 徴:車軸状に出る小葉

チングルマ


撮影日:2021年8月30日
撮影地:剣山荘手前
科/属:バラ/ダイコンソウ
特 徴:風になびくような綿毛

ツガザクラ


撮影日:2021年8月31日
撮影地:剣沢
科/属:ツツジ/ツカザクラ
特 徴:葉は線形

ノコンギク


撮影日:2021年8月31日
撮影地:黒部平
科/属:キク/シオン
特 徴:短毛が密生

ハクサントリカブト


撮影日:2021年8月31日
撮影地:剣岳武蔵コル
科/属:キンポウゲ/トリカブト
特 徴:有毒植物

ハクサンフウロ


撮影日:2021年8月31日
撮影地:剣岳武蔵コル
科/属:フウロソウ/フウロソウ
特 徴:葉は掌状に裂

ハクサンボウフウ


撮影日:2021年8月30日
撮影地:剣沢
科/属:セリ/カワラボウフウ
特 徴:茎は直立し上部で分枝

ベニバナイチゴ


撮影日:2021年8月30日
撮影地:剣山荘手前
科/属:バラ/イチゴ
特 徴:

ミヤマキンバイ


撮影日:2021年8月31日
撮影地:剣沢
科/属:バラ/キジムシロ
特 徴:3小葉の葉

ミヤマホツツジ


撮影日:2021年8月30日
撮影地:剣山荘手前
科/属:ツツジ/ホツツジ
特 徴:反り返り、長い雌しべ

ヨツバシオガマ


撮影日:2021年8月30日
撮影地:剣沢
科/属:ハマウツボ/シオガマギク
特 徴:

立ち寄り温泉
* 写真にマウス ⇒ 写真拡大 *

心笑館こまどめの湯(0261-85-2615)Map

2013年9月20日にリニュアルオープンした。葛温泉に通じる道路沿い別荘地の一角にある。

 ・所在地:長野県大町市平高瀬2112-316
 ・浴室:内風呂、露天、サウナ
 ・方式:かけ流し
 ・泉質:単純硫黄泉(58℃)
 ・営業時間:6:00~22:00(受付21:30)
 ・休館日:無休
 ・入湯料:大人:500円/10回券4千円
 ・割引:
 ・観光スポット:龍神湖展望台、大町エネルギ博物館
 ・入浴日:2014年1月2日

大町温泉郷薬師の湯(0261-23-2834)Map

大町温泉郷唯一の日帰り温泉施設で、湯は葛温泉の引き湯です。アルペンルート観光後の入浴に便利です。

 ・所在地:長野県大町市平2811-41
 ・浴室:内風呂、露天
 ・方式:加水
 ・泉質:単純温泉(62.8℃)
 ・営業時間:7:00~21:00(7/1~10/31)(受付20:30)
             10:00~21:00(11/1~6/30)(受付20:30)
 ・休館日:無休
 ・入湯料:大人:700円/12枚6千円
 ・割引:物見湯産手形_2021、観光案内所等に100円割引券
 ・観光スポット:アルペンルート
 ・入浴日:2013年10月13日