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明星山(1,188m)登山記

はじめに

 本登山は、近くの温泉で知り合った会話が相通じる方からの誘いを受けた山行です。その方とは、東筑摩郡筑北村の青柳城跡散策にもお伴させてもらったことがある。糸魚川方面には詳しく、この山もあらゆるルートから登った経験があり、頼もしい同行者です。
 明星山は石灰岩からなる飛騨山脈北部に位置する標高1,188mの山です。秀麗な形と大岩壁を備えているが、標高が低いためか日本300名山には入っていない。今から約3億年前、熱帯付近の海底火山上にできたサンゴ礁が、数千万年以上の長い年月をかけてプレートの運動によって移動して形成された。そのため、明星山近辺では、サンゴ、腕足類、フズリナといったサンゴの化石が多く見つかる。
  明星山は全山石灰岩で、特に岩肌がむき出しになっている南壁は日本有数のロッククライミングの聖地です。 直下を流れる小滝川は国指定天然記念物の小滝川ヒスイ峡として知られている。ヒスイは、5億年前に大陸の地下深くで、海洋プレートの移動の際高い圧力を受け出来たと考えられている。その後、蛇紋岩に包まれ隆起して地上に現れた。
 登山道は岡集落からのルートと小滝川ヒスイ峡からのルートの2つがある。今回は小滝川ヒスイ峡から登ることにする。このルートは西壁の直下にあり、ガレた登山道で非常に歩き難い。また6月に入っても雪渓があるため、6月までの登山はアイゼンを持参した方が良い。この登山も1ヶ所急斜面の雪渓のトラバ-スが必要だった。山頂から少し下がった先端に開けた場所があり、そこからの眺めは日本海、後立山連峰を始め素晴らしい景色が拡がる。
 高山植物は6月中旬だったにも関わらず、私の予想に反して数多くの花に巡り会えた。赤紫色のシラネアオイの群生は花が大きいので特に目についた。岸壁に張り付いて咲いていた黄色い花が印象的だった。また山菜が豊富に自生していた。私には判別不能だったので、同行者の教示を受ける。
 本登山は梅雨の合間を利用した登山で、天気予報が見事に的中して素晴らしい登山日和となる。我々は安曇野に住んでいるため、この付近にある多くの山が、天気予報をたよりに臨機応変に動けるのは有難い。今回も前日に決断して、決行を決める。移動時間2時間程で登山口に着けるのも有難い。多少時間を要したが、満足のいく山行だった。

2022年6月13日(月) 晴
 ヒスイ峡登山口Map (7:28 43分) ⇒ サカサ沢付近雪渓(8:11-8:25 1時間29分) ⇒ 明星山分岐(9:54-10:07 1時間24分) ⇒ 直登ル-ト分岐(11:31 2分) ⇒ 明星山_1,188m(11:33 7分) ⇒ 見晴らし台(11:40)
見晴らし台(12:25 7分) ⇒ 明星山(12:32 2分) ⇒ 直登ル-ト分岐(12:34 1時間2分) ⇒ 岡集落ルート分岐(13:36 19分) ⇒ 明星山分岐点(13:55-14:14 1時間11分)⇒ サカサ沢付近雪渓(15:25 34分) ⇒ ヒスイ峡登山口(15:59)

 国道148号線の姫川温泉平岩信号先を山之坊大峰小滝線に入る。大峰峠付近にある大峰大地蔵尊を経由して6Km程進み、左折して平山線に入る。暫く行くと高浪の池展望台があり、高浪の池の背景に石灰岩の秀麗な明星山が聳える。明星山というより明星岳の名が相応しいと感じる。高浪の池から林道高浪線に変わり、ヒスイ峡フィッシングパークを左折すると1.2Km先に明星山登山口吊り橋がある。その先に4、5台止れる駐車場があり、先客の2台の車が駐車していた。着いたばかりの車の人と暫く挨拶がわりに話をする。先客はいづれも渓流釣り目的で訪れていた。登山目的は我々だけのようだ。
 登山支度をして、ヒスイ峡登山口の小滝川に架かった吊り橋を7時28分に渡り始める。中間点から先で吊り橋の底板がかなり下流側に傾いていた。ここから山頂まで6Km、標高差1,020mの登山がスタ-トする。出始めは灌木帯で下草に覆われた狭い登山道だった。次第に下草はなくなり、多少岩はあるが歩き易い緩やかな道が続く。20分程歩くと、岩がごろごろある歩き辛い急斜面の道となる。沢の音が聞こえるのみで、視界のきかない道を躓かないよう慎重に歩を進める。西壁直下の雪渓に11時20分頃到着する。そこでこの雪渓をトラバ-スするか、雪渓下を迂回するか相談しているところに、途中休憩していた登山客が追いついてきた。駐車場にはこの登山客の車はなかったはずだ。それでも男女登山客が1組いたことは、何故かほっとする。この登山者は、女性の一声で雪渓下を迂回するようだ。我々は最短ル-トとなる雪渓をトラバ-スすることにする。アイゼンを装着して渡り始めるが、私は簡易アイゼンのため足元に一抹の不安を感じ、なかなか前に進めない。同行者のサポ-トを受け、急傾斜の雪渓を何とか乗り越える。渡りきったところから先ほどの登山者に合図を送り先行する。暫く行ったところで、先程の雪渓が全望出来る高台から登山者を確認するが見当たらない。どうも登山を諦めたようだ。結局この登山者と再会することはなかった。そこから小1時間進むと高山植物を数多く見つける。岸壁の狭い空間に黄色い花が咲いていた。判別不能でカンゾウかキスゲと思われるが、この時期だとキスゲかな。ただ、登山道でその花を見かけることはなかった。更に暫く歩くと視界が開け、残雪がある後立山連峰が見え始める。登山道が岸壁に近づくと残置ボルトが視認出来る。
 トラバ-スした雪渓から更に大小3ヵ所の雪渓の末端を横切り、岡集落からのルートとの合流点になる明星山分岐にヒスイ峡登山口から2時間26分で到着する。明星山分岐の道標は倒れ、表面を覆ったブリキに熊の爪痕らしき傷があった。そこで暫く休憩して明星山の尾根に取りつく。少し下った雪渓の残る鞍部に雪椿を目にする。日本海方向の視界が開けるまで、岩と滑り易い斜面が続く。所々鎖が設置されていた。明星山分岐から歩くこと1時間26分で明星山山頂(1,188m)に着く。この間予想外に時間がかかり、下山にその影響を引きずることになる。
 山頂は木々が少し残っているので、通過して少し下った見晴らしの良い先端部まで行く。
 そこは360度の絶景が拡がっている。糸魚川市街、日本海と白馬三山は指呼の先だ。焼山、雨飾山、戸隠山もはっきり見渡せる。梅雨の切れ間の快晴の天気に恵まれる。
 帰路は山頂直下の分岐から直登ル-ト側を下る。このルートはぬかるんだ急坂で、往路の明星山分岐から山頂まで足の不調を感じた危惧が、下り初めて直ぐに出だした。両足のふくろはぎが攣りそうになり、だましだましの下山となる。同行者に何ヵ所かで待ってもらうはめになる。岡集落ルート分岐まで通常タイムの2倍くらいの時間を要する。岡集落からのルートと合流して、明星山分岐まで上り返す。そこからは、いくらか足の具合が良くなり、遅ればせながら西壁直下の雪渓に辿り着く。
 足に不安があるので、急傾斜の雪渓のトラバ-スは気を使う。雪渓からの歩き難い岩だらけの登山道を過ぎると、岩の少ない道を20分程歩くと、小滝川に架かった吊り橋に着く。15時59分の到着で、8時間30分かかり、休憩を考えても少しかかり過ぎた。1,188mの山歩きにしては疲れ過ぎだ。帰路林道高浪線が工事中のため20分程待たされる。途中高浪の池に立ち寄る。その頃には明星山山頂は雲に隠れていた。国道148号線に出たところの姫川温泉瘡の湯で疲れと汗を流す。後は一路帰宅するのみだ。


高山植物

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イカリソウ


撮影日:myoujousan
撮影地:明星山
科/属:メギ/イカリソウ
特 徴:花は錨形、3本の葉柄

イワシモツケ


撮影日:2022年6月13日
撮影地:明星山
科/属:バラ/シモツケ
特 徴:散房花序

ウサギギク


撮影日:2022年6月13日
撮影地:明星山
科/属:キク/ウサギギク
特 徴:全体に軟毛

ウツギ


撮影日:2022年6月13日
撮影地:明星山
科/属:アジサイ/ウツギ
特 徴:多花、葉対生

オオコメツツジ


撮影日:2022年6月13日
撮影地:明星山
科/属:ツツジ/ツツジ
特 徴:2-5個の散房状の花

オオタチツボスミレ


撮影日:2022年6月13日
撮影地:明星山
科/属:スミレ/スミレ
特 徴:距が白色

カンスゲ


撮影日:2022年6月13日
撮影地:明星山
科/属:カヤツリグサ/スゲ
特 徴:細い花茎

キクザキイチゲ


撮影日:2022年6月13日
撮影地:明星山
科/属:キンポウゲ/イチリンソウ
特 徴:小葉が羽状切れ込み

クサイチゴ


撮影日:2022年6月13日
撮影地:明星山
科/属:バラ/キイチゴ
特 徴:小低木だが草の様

コバイケソウ


撮影日:2022年6月13日
撮影地:明星山
科/属:ユリ/シュロソウ
特 徴:

サンカヨウ


撮影日:2022年6月13日
撮影地:明星山
科/属:メギ/サンカヨウ
特 徴:フキ状の葉2枚

シャガ


撮影日:2022年6月13日
撮影地:明星山
科/属:アヤメ/アヤメ
特 徴:白地に青い斑点

ショウジョウバカマ


撮影日:2022年6月13日
撮影地:明星山
科/属:シュロソウ/ショウジョウバカマ

シライトソウ


撮影日:2022年6月13日
撮影地:明星山
科/属:シュロソウ/シライトソウ
特 徴:糸屑を束ねた様な花

シラネアオイ


撮影日:2022年6月13日
撮影地:明星山
科/属:キンポウゲ/シラネアオイ
特 徴:花状の萼片4枚

タカネバラ


撮影日:2022年6月13日
撮影地:明星山
科/属:バラ/バラ
特 徴:

ハナニガナ


撮影日:2022年6月13日
撮影地:明星山
科/属:キク/ニガナ
特 徴:花が7枚以上

ヒトリシズカ


撮影日:2022年6月13日
撮影地:明星山
科/属:リンドウ/ツルリンドウ
特 徴:鐘型花

ヒメシャガ


撮影日:2022年6月13日
撮影地:明星山
科/属:センリョウ/チャラン
特 徴:4枚葉、ブラシ状の花序

マムシグサ


撮影日:2022年6月13日
撮影地:明星山
科/属:サトイモ/テンナンショウ
特 徴:マムシの形

マルバスミレ


撮影日:2022年6月13日
撮影地:明星山
科/属:スミレ/スミレ
特 徴:ハート状の葉

ユキツバキ


撮影日:2022年6月13日
撮影地:明星山
科/属:ツバキ/ツバキ
特 徴:5-6枚の花弁は水平状

立ち寄り温泉
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姫川温泉瘡の湯(025-557-2120)Map

源泉は、2kmほど離れたところの武田信玄の隠し湯として伝えられた名湯です。

 ・所在地:長野県北安曇郡小谷村北小谷9922-2
 ・浴室:内風呂
 ・方式:かけ流し
 ・泉質:Na・Ca-塩化物、炭酸水素塩温泉
 ・営業時間:9:30~18:00(冬季10:00~18:00)
 ・休館日:木曜日(祝日の場合翌日)
 ・入湯料:大人:600円
 ・観光スポット:姫川渓谷、ヒスイ峡
 ・入浴日:2022年6月13日

姫川温泉湯の宿朝日荘(025-557-2301)Map

 ・所在地:長野県北安曇郡小谷村北小谷9922-3
 ・浴室:内風呂、露天
 ・方式:かけ流し
 ・泉質:Na,Ca炭酸水素塩,塩化物泉(60℃)
 ・営業時間:8:00~20:00
 ・休館日:無休
 ・入湯料:大人:600円
 ・観光スポット:姫川渓谷、ヒスイ峡
 ・入浴日:

道の駅おたり深山の湯(0261-72-3745)Map

 ・所在地:長野県北安曇郡小谷村北小谷1861-1
 ・方式:かけ流し
 ・浴室:内風呂、露天
 ・泉質:Na,炭酸水素塩,塩化物温泉(50.8℃)
 ・営業時間:10:00~21:00(受付20:30)
 ・休館日:水曜
 ・入湯料:大人:500円
 ・観光スポット:風吹大池
 ・入浴日:2008年10月22日