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富士山登山記

はじめに
 富士山は100名山の99座目となる山行です。私の中では、富士山は最後に登る山として、今まで登りたい思いを封印してきた山です。最後に残った山は飯豊山になったが、8月に2回計画するが全国的な天候不順で断念した。それでも、富士山を100番目にすることは出来たが、年齢的な体力面、コロナ禍で富士山登山が不確定なことで、2021年富士山登山が解禁された機に断行した。今回は家族、友人を交えた6人の登山です。97座目平ヶ岳登山とほゞ同一メンバ-です。
 富士山登山は、参加メンバ-の3人が吉田口より既に登っているので、富士宮口より登ることにした。大阪、神奈川在住の足回りの便利さも考慮した。登山日は富士宮登山口ルートの上部山小屋の小屋閉め最終日9月5日~6日とする。登山者が少ないだろうことも決定理由だ。1週間前に9合目の万年雪山荘を予約する。遠路の者は朝が早いので、新富士近くのビジネスホテルに前泊する。
 あとは登山日当日の天気だけだ。このところ天気が悪い日が続いている。1週間前から「てんきとくらすサイト」で富士山頂天気をチェックしていたが、9月5日~6日は登山不適が続いていた。直前までころころ変わるので、富士宮市の天気を参考に決行することにした。後から天気の遷移を記すと、9月1日は雨で午後から強風、2日~3日は終日嵐。4日は曇だが遭難が2件発生。5日は晴れ、6日は早朝と夕方に雪で日中は晴れだった。登山前と登山後に雨に逢うが、登山中は天気に恵まれた登山となった。6日4時頃から登り始めた時、雪に1時間程逢うが、山頂がうっすら初冠雪(当初気象庁発表は7日だったが26日に変更)に覆われ、お鉢巡りは想定外の雪景色を味あうことが出来た。
 想定外は雪だけでなく、登山者が意外に多かったことだ。登山者は少ないと予想していたが、登山道では多くの登山客と行き会い、その半数以上は外人だった。外人はいないと思っていたので意外だった。当然、山小屋は満員で、半数以上は外人だ。
 登山者多い分、色々な人に出会う。サンダルの人、空荷の人を見ると、山頂まで登れるのか危惧する。私達は6日下山途中に多くの登山者に出会ったが、山小屋の多くが5日にクロ-ズしているので、弾丸登山をするのか。他人ごとではあるが心配する。中には2千数100回の登山者が今日も来ていると聞いたり、すれ違った登山者から聞きもしないのに933回目の登山だと言われたりした。
 結果的に私達にとっては、運よく天気に恵まれ、想定外の雪景色のお鉢巡りも出来、思い出に残る富士山登山となった。


2021年9月5日(日) 雨後晴
 水ヶ塚公園駐車場(10:00 33分) ⇒ 富士宮口5合目駐車場登山口_2,380m(10:33-10:40 4分) ⇒ 富士山表口5合目_2,400m(10:44 17分) ⇒ 6合目_2,490(11:01 53分) ⇒ 新7合目_2,780m(11:54-12:10 49分) ⇒ 元祖7合目_3,030m(12:59-13:06 59分) ⇒ 8合目_3,250m(14:05-14:20 48分) ⇒ 9合目_3,460m(15:08)
 安曇野の自宅を6時に出発して長野自動車道岡谷JCT、中央自動車道双葉JCT、中部横断自動車道富沢ICを経由して2時間程で富士市に入る。富士駅、前泊のホテルで同行登山者を迎え、水ヶ塚公園駐車場に9時半頃に到着する。登山支度をして、入山料1,000円を払い、往復2,000円の乗車券を購入して、10時発のシャトルバスに乗車する。雨模様の中を出発するが、5合目に近づくに従い小雨から晴れ間が覗く空模様になる。富士宮口5合目に10時33分に着き、トイレ等を済ませ、10時40分富士宮口5合目駐車場登山口を出発する。階段を登りタクシ-乗降場と臨時登山相談所のある富士山表口5合目(標高2,400m)を10時44分に一歩を踏み出す。
 最初の木段を上がると、登山道らしい火山岩の岩肌が出た道となる。公衆トイレ横を通り暫く進むと、長坂と呼ばれる歩き易い登山道となり、雲海荘・宝永山荘のある6合目に着く。黒砂混じりの、山腹を斜めによぎる緩斜面なのであっという間に着く。山荘奥を左側に回り込むと富士宮ル-トで、直進すると宝永山火口だ。道標には富士山山頂3.8Km240分、宝永山60分、富士宮口五合目0.5Km10分の表示がある。ジグザグの道を暫く行くと森林限界を過ぎる。その頃から新7合目、元祖7合目の山小屋が手にとるように見える。直ぐに着けそうでなかなか着けない。登山者の一部には、勘違いしてペースオ-バ-になる者がいるようだ。この時期登山道脇にはオンタデ、ミヤマオトコヨモギとイワツメクサの花しか咲いていない。砂礫の登山道で急坂になるので、6合目までとは大違いだ。御来光山荘のある新7合目(標高2,780m)に、6合目から53分で着く。新7合目前後から宝永山がよく見える。ここで一息つく。
 次に目指すは元祖7合目だ。富士山のガイドマップを見ると合目間の標準所要時間が大きく異なる。また新7合目とか元祖7合目なる表示があり、合目の解釈が良く解らない。何となく麓から山頂までを距離または標高を10等分していると思っていた。今まで合目の表示がある山では、それをペースの目安にしていたので、富士山では感覚がずれた。そこでコトバンクで調べると、「山のふもとから頂上にいたる登山の行程の単位。実際の距離や山の標高とは関係なく、登山する場合の困難の度合を目安として全行程を10等分し、その一つ一つを1合目、2合目などと称する」とあった。そうなると山毎に異なるので、ペースの目安とするのではなく、区切りとして考えるのが正解な気がする。
 新7合目から砂礫の登山道となり、坂も急なので歩き辛い。元祖7合目手前に標高3,000mの表示があり、瓦礫だらけの急坂となる。山口山荘のある元祖7合目(標高3,030m)に新7合目から49分で着く。山小屋手前の道標に標高3,010mの表示があるが、3,000m地点から見ると10m以上に感じる。他の資料を見ると3,030mとあるので、私はこちらの方が正しい気がする。どうも各山小屋の道標に記載されている標高と、他の資料の標高は微妙に異なる。ここの山小屋は既に閉じられていた。
 元祖7合目の山口山荘を出たところから8合目の池田館が小さく見える。溶岩帯で、崖状の岩場もあり、階段状の狭い登山道を抜けると池田館のある8合目(標高3,250m)に着く。そこから傾斜がきつくなりガレ場となる。9合目付近はジグザグの登山道となり、尾根上の地形を登る。万年雪山荘のある9合目(標高3,460m)に、15時8分の早い到着となる。今晩の宿泊はこの山小屋で、早々にチェックインを済ます。夕食は17時としたので、その間手持ちのつまみで酒、ビールを飲んで時間を繋ぐ。夕食を済ますと、明日の早立を考えて早々に寝床につく。


2021年9月6日(月) 晴一時雪
 9合目_3,460m(4:27 48分) ⇒ 浅間大社奥宮(5:15 22分) ⇒ 剣ヶ峰_3,766m(5:37 42分) ⇒ 久須志神社(6:19 34分) ⇒ 浅間大社奥宮(6:53)
 浅間大社奥宮(7:12 21分) ⇒ 9号5勺(7:33 31分) ⇒ 9合目(8:04-8:08 23分) ⇒ 8合目(8:31 27分) ⇒ 元祖7合目(8:58 32分) ⇒ 新7合目(9:30-9:44 37分) ⇒ 6合目(10:21 15分) ⇒ 富士山表口5合目(10:36 4分) ⇒ 富士宮口5合目駐車場登山口(10:40-11:07 23分) ⇒ 水ヶ塚公園駐車場(11:30)

 3,000mを超える空気の薄いところの宿泊なのか、満員の宿泊者による騒音のためか、皆なかなか寝付けなかったようだ。3時過ぎには床を離れ、登山準備にかかる。程度の差はあるが、頭痛を感じる者がいる。その中で二人が体調を考慮し、無理をしないで引返す判断をする。朝早いが注文していた弁当で腹ごしらえする。小粒の雨が降っていたので雨具を装着し、暗い中4時27分に山小屋を出発する。ヘッドライトをたよりに登り始めると、登山道に沿って登山者のヘッドライトが漆黒の闇の中に大小の点の塊、若しくは点となって山頂に向かって延びている。暫く進むとあられから雪になり、登山道をうっすら雪で覆う。ライトで白く光るので、岩の形状がよくわかる。市街地の明かりが見えるので、今は雪となっているが短時間で止むだろう。胸突山荘のある9号5勺は闇の中です。富士山山頂まで200mの道標付近では、雪は完全にあがっていた。空が白み始め、富士市岩淵鳥居の回りは、白と黒の斑模様でまるで白黒写真だ。浅間大社奥宮前の鳥居に、すっかり明るくなった5時15分に着く。その一角にある頂上富士館は閉じられていた。
 奥宮左に進むと、白く冠雪した広場の先に、2004年に測候所が閉鎖されて以降富士山特別地域気象観測所になった施設が、富士山最高峰剣ヶ峰に乗っかって見える。剣ヶ峰手前の急坂は雪で滑り易く、へっぴり腰で歩く。99座目富士山剣ヶ峰(標高3,776m)に、5時36分登頂する。そこは富士山特別地域気象観測所で支配されていた。
 そこから上部が雪で白く塗られた火口壁の下に巨大な火口底がのぞく。また右手に浅間大社奥宮等の施設が、うっすら赤に染まる空の下に白い屋根を見せる。左手に吉田口ルートのある久須志岳に続くお鉢巡りの登山道が、白い筋となって浮かび上がって見える。
 お鉢巡りはガスで時折視界が霞むことがあるが、火口全体をしっかり見ながら歩けた。残念ながら下界は雲の下となっている。久須志神社がある吉田口登山道に剣ヶ峰から42分で着く。そこから吉田ル-トを登って来る登山者と8合目の山小屋群が良く見える。吉田口登山ル-ト上り口から須走口下山道にかけて大勢の登山者がたむろしていた。
 そこからお鉢の成就岳、伊豆岳、朝日岳、浅間岳の裾を巻いて、小さなアップダウンを繰り返して浅間大社奥宮に着く。その少し前で剣ヶ峰巨大火口を見納める。
 いよいよ富士市岩淵鳥居に向かって下山を開始する。9号5勺にある胸突山荘は指呼の先だ。谷状の地形を抜け、ジグザグの登山道を一気に下りる。胸突山荘は小屋締めの最中だった。そこから往路では暗くて見ることが出来なかった、浅間大社奥宮付近の建物が 岩稜の間にはっきり見通せた。往路に見えていたなら、励みになっていただろう。そこで、下山初めにも関わらず休憩を取る。
 次なる目標地9合目の前日宿泊した万年雪山荘を目指す。万年雪山荘手前からも山頂方向を見ると、左に胸突山荘、正面に浅間大社奥宮付近の建物が小さく見える。万年雪山荘は午前5時に小屋終いを済ますと聞いていたが、8時頃に到着したがまだ作業をしていた。ここは早々に通過して、8合目に向かう。8時31分に8合目の池田館を通過する。
 この頃から下る足に疲れを感じるようになる。下りは無理がきくので元祖7合目を8合目から27分の8時58分に着く。その直ぐ下の3,000mの標識を見て、山頂から半分強の766m下りたことを実感する。新7合目は14分の休憩を取ったが、9時44分に順調に通過する。
 急坂の砂礫の登山道を6合目に10時22分、緩斜面の登山道を富士山表口5合目に10時37分に通過して、富士宮口5合目駐車場登山口に10時39分に無事下山を果たす。そこで、先行下山していた二人と合流する。
 20分程の待ち時間で11時発のシャトルバスに乗る。7分遅れで出発したが、水ヶ塚公園駐車場にほゞ定刻の11時30分に到着する。バスが出発する頃から雨模様になり、降車した時には本降りとなっていた。
 そこから富士宮市の富嶽温泉花の湯に立ち寄り、2日間の疲れと汗を流す。ファミレスで食事後、同行者を新富士駅、富士駅へ送り届けて解散する。


最寄りの温泉

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静岡県

富嶽温泉花の湯(0544-28-1126)Map

大露天風呂は、草津の湯の成分を溶かせた「草津の湯」や炭酸泉がある。 また多種多様な壺湯が置かれている。

 ・所在地:静岡県富士宮市ひばりが丘805
 ・浴室:内風呂、露天、壺風呂、サウナ
 ・方式:
 ・泉質:アルカリ性単純泉(29.7 ℃)
 ・営業時間:10:00~2:00(露天1時まで)
 ・休館日:無休
 ・入湯料:大人:814円(60分)
 ・割引:110円割引券あり
 ・観光スポット:富士山
 ・入浴日:2021年9月6日