* 写真クリック⇒拡大 *

フランス、スペイン1,679Kmの巡礼の旅

 友人で巡礼先輩のYさんと娘に触発されて、3ヵ月近くの巡礼の旅に出発する。60数歳の、フランスとスペインの地1,700Km近くを徒歩による、その日まかせの旅です。娘とは同行するが、半工程近く別行動となる。英語は殆ど通じない地で、つたない英語力を駆使しての無鉄砲な巡礼です。毎日毎日が刺激の連続で、言葉の壁はあったが、思った以上に楽しめ、各国の巡礼者と交流することが出来た。
 巡礼者の挨拶はフランスがボンジュール、ボンシュマンでスペインに入るとオラー、ブエンカミーノに変わる。ボンジュール、オラーは「おはよう」でボンシュマン、ブエンカミーノは「良い旅を」です。シュマン(Chemin)、カミーノ(Camino)は道を意味する。
 フランスには4つの主要巡礼路があり、アルルの道はその一つです。このルートは巡礼者の数が少なく、変化に富んだ景観を楽しめます。行き交う人が少ないので、山道など不安を感じることがあります。住民は巡礼者に寛容で、時に親切過ぎて戸惑うこともあります。
 アルルの道(アルル⇒オロロン・サント・マリ)、ピアモントの道(オロロン・サント・マリ⇒サンジャン・ピエド・ポル)を経由して、ピレネの山脈を越えるとスペインに入ります。そこからは、最もポピュラな巡礼道フランス人の道(サンジャン・ピエド・ポル⇒サンチャゴ・デ・コンポステーラ)に続きます。この路は巡礼者が多く、巡礼道・道標・宿泊所が整備されているので、安心して巡礼を楽しめる。カテドナルドはそれぞれ特徴があり、ゴシックとロマネスク様式の混在、壮観なステンドグラス、優美なフレスコ画、繊細なファサード彫刻を飽きることなく堪能できる。また、スペインの広大な自然に身も心も癒される。目的地サンチャゴに到着すると、教会から巡礼証明書の発行を受ける。大聖堂で巡礼者だけのミサに参列し、 ボタフメイロ(吊香炉)の儀式でクライマックスに達し、巡礼のフィナーレとなる。
 ここで巡礼を終えるが、私を含めた一部の巡礼者は100Km程のフィニステラの道(サンチャゴ・デ・コンポステーラ⇒フィニステラ)に進んだ。この道は何の変哲もないが、心に沁みるものがあった。最後の10日間程は、手探りのポルトガル、スペイン、イタリアの一人旅を満喫した。臆せずぶつかれば、苦労はするが、思い出に残る素晴らしい旅が出来ることを実感した。

ポルトガル、スペイン240Kmの巡礼の旅

 9年ぶりに巡礼の旅をすることになる。今回はポルトガルの道で、距離は240Km、同行者4人です。前回と比べて肉体的にも精神的にも非常に楽だ。ただ、歳を重ねた点が唯一気懸りな材料です。
 ポルトガルの道は、サンチャゴ巡礼で2番目に多いコ-スです。また、9年前に比べて巡礼者の数が大幅に増えている。ポルトガルはスペインに比べてアルベルゲが少ない点が心配だ。巡礼は天気に恵まれ快適な旅となる。ポルト出発第一日目だけ、肌寒くほんの少し雨にあうが、それ以降は快晴の天気が続く。
 ポルトガルの道のポルトガル側はやたらに石畳が多く歩き辛い。道路と民家、葡萄畑等と林、小高い山が交互に現れる。道路と並行して巡礼路があるので、度々道路を横断する。黄色い矢印が多箇所に表示され、市街地以外は迷うことはない。青い矢印の逆コ-スの巡礼者が多く、また自転車が多いのが印象に残る。
 スペイン側はポルトガル程細かい石畳でないので歩き易い。道標は黄色い矢印とホタテ貝の矢印が混在して、サンチャゴまでの距離表示が多くある。皆携帯電話を持っているので、度々近況報告している点が気になる。
 9年前は追越すことが多かったが、今回は逆の立場となる。今年は大聖堂が工事中で見学のみとなる。巡礼者が多く、巡礼証明書をもらうまでに2時間以上待たされる。今回は2枚組になっていた。前回無料で朝食をふるまわれたパラドールに宿泊することが出来た。今回も日にちを余分にとり、ポルト(Porto)、ヴァレンサ(Valença)、ビ-ゴ(Vigo)をゆっくり観光出来た。
 今回奇妙なイベントに遭遇した。一つは、トゥイ(Tui)の複数の教会で鐘が1時間程同時に鳴り響いたこと。二つめは、サンチャゴ大聖堂前で夜間ゴ-ルのマラソンがあったこと。三つめはポルトで学生の大集団が同色のステッキと帽子で、メインストリ-トを交通規制して行進していたことだ。