(概要)
東福寺偃月橋(えんげつきょう)は、京都市東山区にある臨済宗大本山東福寺の境内に架かる木造の屋根付き橋で、室町時代に創建された禅宗寺院建築の貴重な遺構である。東福寺には三つの橋があり、臥雲橋・通天橋とともに「三名橋」と称されるが、偃月橋はその中で最も古く、国の重要文化財に指定されている。現在の建物は1603(慶長8)年の再建と伝えられ、桃山時代の力強い様式を今に伝えている。
橋は渓谷・洗玉澗に架かり、緩やかに反った形が三日月(偃月)のように見えることからこの名が付いた。切妻造・桟瓦葺の屋根をもつ回廊形式で、柱や梁には太い木材が用いられ、禅寺特有の簡素で格調高い意匠が感じられる。内部は一般の橋というより建築物に近く、僧侶が行き来するための実用性と、修行の場にふさわしい静謐さを兼ね備えている。
偃月橋の魅力は、周囲の自然と一体となった景観にある。洗玉澗の谷はモミジの名所として名高く、秋には燃えるような紅葉が橋の柱や屋根を包み込む。観光客でにぎわう通天橋に比べ、偃月橋はやや奥まった場所にあり、落ち着いた雰囲気の中で古寺の趣を味わえる。新緑や雪景色の季節にも美しく、訪れるたびに異なる表情を見せる。
この橋は単なる通路ではなく、禅宗寺院の精神世界を象徴する文化財である。創建以来、戦乱や災害をくぐり抜けて守られてきた姿は、東福寺の歴史そのものを物語る。偃月橋に立つと、京都の千年の時の流れと、日本建築の洗練された美が静かに伝わってくる。
(アクセス)
電車では、JR奈良線東福寺駅下車で徒歩10分程、京阪本線東福寺駅下車で徒歩10分程、JR奈良線東福寺駅下車で徒歩10分程です。バス便は京都駅から東福寺バス停下車で徒歩10分程ですが、渋滞があります。車では、名神高速京都南ICを出て20分程です。駐車場は近隣コインPになります。➠ Map

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